ASCM CONNECT 2024 オースティン大会 2/4
恒例の「Supply Chain Top 10 2025」が公開される
ASCM年次大会恒例の「サプライチェーントップ10」の発表が本年も行われた。このランキングイベントは、来年1年間のサプライチェーン・マネジメントにおいて最も考慮すべき事象をランキングするものである。なるほどと思わせるものから米国固有の問題まで種々の論点が提示されるため、なかなか目が離せない大会の風物詩である。
本年1位にランクアップしたのが人工知能(AI)である。昨年2023年のケンタッキー大会に登壇したMITの看板教授ヨシ=シェッフィが「AIは現在の仕事を淘汰する可能性があるが、未来の新たな産業を生み出す可能性がある」と切れ味の良いキーノートスピーチを行ったことが思い起こされるランキングだ。本年の選定委員もAIが急速に台頭している領域は「オペレーション(現場)」に多い、との認識を示していた点が印象的である。
逆に今回大きく順位を下げたのが「リスクマネジメント」だ。これは一見するとコロナ禍によりズタボロになったサプライチェーンが回復したため、ともとれるが選者の意図は「混乱は常態化した(従ってマネジメントが可能である)」というものであることに注意を要する。そのような前提でのSCMがこの2年間で標準的になったという解釈もあり得るだろう。
もっとも、いかに選定基準の適切さを示したところで、主観的には「そうじゃない」と思うのもの人情だろう。会場では全く同じ項目について会場に尋ねる形でのリアルタイムの投票が行われた。会場に居合わせた200名あまりのサプライチェイナーのセンチメントによれば最下位の「リスクマネジメント」がトップ(有効投票数の約15%)であった。グローバルSCMの現場には必ずしも平時が戻っているわけではない様子が見て取れる一幕であった。
→前の記事「ASCM CONNECT 2024 オースティンにて開催」
ACJによる帰朝報告会「ACJ BEACON」のお申し込みはこちら→ACJ BEACON 2024「ASCM CONNECT 2024を振り返る」