「CHAINge」 ASCM CONNECTの名称が変わります
ASCMの年次大会の名称は「CONNECT」から「CHAINge」へと進化する
SCMの世界標準は「デファクト標準」だと言われています。歴史的に見てSCMの分野は、より多くの実務家の支持を得た概念を標準とみなし、体系化されてきました。ASCMが整理・体系化したSCMの概念は、およそ60年間デファクト標準として多くの実務家に支持されています。もっとも、デファクト標準であることは、支持の対象が新陳代謝を伴うことを想定するものでもあります。
このほど、このSCMの民主的な世界標準を拓くフロンティアであるASCMの年次大会「ASCM CONNECT」が「CHAINge」へと変わるというニュースが飛び込んできました。まだ情報の少ない中ですが、編集部が把握する最新の情報をお伝えしたいと思います。
現在の「CONNECT」の名称はコロナ禍の最中に生まれた
従来、ASCMの年次大会はシカゴ・ラスベガス・サンアントニオ・オースティンといった米国の都市を巡回する形で開催されてきました。世界各地から数千人のサプライチェイナーが集まる場は「実務家による学会」であり、ネットワーキングの場ともなっています。
2019年のコロナ禍によって、世の中のカンファレンスの多くが中止を余儀なくされました。しかし、ASCMの年次カンファレンスは大規模なオンライン大会を企画するなど、中断することなく維持されました。このとき用いられた「CONNECT」という大会名称は、寸断されたサプライチェーンを最前線で支える世界中のSCM実務家の胸を打つものでした。
今回の「CHAINge」への名称変更は、コロナ禍により深く傷ついたサプライチェーンが世界中で回復しつつある中で、ASCMの年次大会が再び知の集積・革新の場へとモードチェンジする意図を明示したもの考えて良いでしょう。
CHAINgeのアジア地域開催の可能性がある?
CHAINgeは北米以外にも開催地が設定されている点にも特徴があります。現時点で予定されているのは欧州大会(2025年6月17日~18日, ブリュッセル)。北米大会は例年通り9月開催(2025年9月9日~10日、コロンバス)が予定されています。いずれも従来のCONNECTに比べて1日短い2日間の開催スケジュールが組まれています。また、編集部独自調査によれば、2026年以降に他の地域での開催を目指しているとの未確認情報もあります。複数の関係者よりAPAC大会の開催案が聞こえてきており、編集部としても実現に期待するところです。
最後に、「変革」が強調されるCHAINge開催の狙いについて、ASCMのCEOエイブ・アシュケナージ氏のメッセージをご紹介します。
<エイブ氏のメッセージ(編集部抄訳)>
- 「観点」の変革: コラボレーション、イノベーション、そして実践的なインサイトに焦点をあてた、時宜を得た体験で従来のカンファレンスの常識を覆す。
- 「思考」の変革: 新たなテクノロジー、革新なトレンド、サプライチェーン・マネジメントへの大胆で新しいアプローチを深く掘り下げる。
- 「つながり」を変革する: 構造化されたネットワーキング活動や共同学習の機会を通じて、サプライチェーン・プロフェッショナルの多様なコミュニティとの強力なつながりを構築する。
- 「スキル」の研鑽: インタラクティブなワークショップ、シミュレーション、実践的な学習体験を通じて、実践的なスキルと知識を身につける。
- 「未来」の変革: 変化し続ける世界で成功する、適応力があり、回復力があり、持続可能なサプライチェーンを構築するために必要な洞察力と戦略を身につける。